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戦争遺物?本物の戦艦が鎮座する海辺の公園:横須賀市三笠公園 記念艦三笠

横須賀の公園

ロシアとの戦争に使われた戦艦が鎮座する謎の公園が横須賀にある。

記念艦三笠が接岸された『三笠公園』である。

軍艦三笠と三笠公園とは?

 

船首には天皇家の菊花御紋、船尾には平仮名で「みかさ」と表記された軍艦が接岸する公園がある。

横須賀市稲岡町82 にある公園『三笠公園』がそれだ。

接岸といっても実際には岸壁にコンクリートで固定されているので、洋上に浮いているわけではない。ただし、嵐であれば実際に波しぶきを被るであろう東京湾の突端にある。

この軍艦はイミテーションではなく、本物の戦艦を整備し鎮座させたものだが、なぜこの平成の時代まで軍艦が公園内に設置されているのか不思議なところ。その理由を含め現在の三笠公園を俯瞰してみたいと思う。

 

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三笠公園概要

 

 

 

この公園は京急「横須賀中央駅」より徒歩15分の神奈川県横須賀市稲岡町82にある。

舞台のあるステージや、芝生の小さな丘、噴水などがあり周囲を海に囲まれた公園となっている。

ところが異質なのは正門をくぐり、公園内に入るとまず正面で出迎えるのが大きな戦艦三笠の側面である。

 

 

さらに、入口に近い船尾には金文字で「さかみ」の堂々とした文字があり、右側から読む古い日本語表記になっている。

 

 

 

 

船首にも同じく金色で菊の御紋がありその方角には在日米軍の横須賀基地がある▼

 

 

 

 

そうなのだ、海に囲まれているといってもその半分は米軍の基地施設が見える岸壁。しかし、軍艦の船首をアメリカ軍に向けているとはなんとも物騒な話ではある。その理由はこうだ。

 

<記念艦三笠の現況への道>

この軍艦三笠は戦中の世界的な軍縮合意の中で取り決められた保有戦艦数削減の実行のために退艦させた船なのだ。ところが東京へ運ぶ前に関東大震災で被害を受け、航行不能に陥ったため停泊していた横須賀の岸壁に記念艦として残されることになったという。

その際に菊の御紋が付いた船首は皇居の方角へ向けられたのだ。もちろん当時の日本はまだアメリカに降伏していなかった為、その場所に現在の米軍基地はなかった。

敗戦後はロシアの主張などもあって、大砲やマストなど甲板上の構造物は取り除かれ、館内も水族館とダンスホールになった。そして時代経過によって荒廃し廃れていったのだが、もう一度当時の姿にもどそうとする保存会なるものが立ち上げられ現在の姿に復元されたのだという。

一旦取り除かれた大砲やマストをもう一度復古させたので、自然とその方角は米軍基地に向かって進む軍艦として再現されたというわけだ。

 

いくらコンクリートに圧着されて実働出来ない記念艦とはいえ、砲門のある船が米軍に進路をとっているようにみえる姿は奇異である。

このような姿に復元するにはよほどの実行力や政治力が必要だったはずだが、この事業に力を入れたのが三笠保存会という団体である。

戦中からある三笠保存会の略歴をみれば謎が一つとける。

昭和33年に再興された三笠保存会の名簿にはそうそうたる名前が連なっているのだ。

当時の三笠保存会・会長の渋沢敬三とはあの日本銀行を作った渋沢栄一の直孫であるというし、吉田茂の名前もみえる。そもそも渋沢栄一(澁澤栄一)も三笠保存会の評議委員になったという記述があり、澁澤家は当時から深く関与し寄付もしていたようだ。

出典:渋沢栄一記念財団 ホームページ

現・三笠保存会ホームページ

 

 

<公園としての三笠>

戦後はGHQの指導などもあり荒廃した時期もあったようだがこの保存会が現在も管理運営をしている。

内覧も可能で数百円の入場料を払うとデッキにも上がる事が出来、艦内見学が可能となっている。(2017年現在 一般600円・小中無料)

 

 

軍艦三笠の左舷前は広場になっており、年に数回大きな市関連のイベントなどで出店がある。

そのまま船首の方角へ進むと海が見える。沖には東京湾唯一の無人島である猿島を望む事が可能だ。突き当たりにはベースと呼ばれる米軍施設があり、ヘリポートからは米軍のヘリコプターの離発着も時折確認される。

 

 

 

公園の中心には小さなステージがあり、こちらもライブやイベントでの活用がある。条件を満たせば一般への貸し出しもあるが、いきなり行って集会やライブを行うというのは禁止されている。

客席側には小振りだが、なだらかな芝生の丘があって寝そべりながら週末の午後を過ごす市民の姿も見られる。

 

 

公園の突き当たりには噴水のある池が設置され、夜にはライトアップされる。噴水は時間に合わせ飛び出す仕組みだ。

 

 

 

 

水面の筒から水が飛び出る。(撮影時は休止時間でした)

 

 

公園の随所にはベンチや自動販売機が設置されている。レストランなどはない。

記念館三笠の船首よりの池前に喫煙コーナーもある。

 

 

 

近隣にはポートマーケットという観光市場があり、平凡で面白みはないが飲食店や土産物が買える。また、そこには電気自動車の充電ポートもあるので電気自動車オーナーはそちらで充電も可能。ポートマーケット〜三笠公園間は徒歩で2、3分と近い。

 

 

 

無人島の猿島航路も三笠公園から出航するので、猿島巡りの時間調整にも便利な公園。夏場の週末は船も島もBBQ客で込むので注意。

 

 

渡船乗り場越しの戦艦三笠▼

 

 

 

<まとめ>

この公園全体が旧日本軍の戦艦と現アメリカ軍のネイビーに挟まれた不思議な空間であることは間違いない。しかしながら、この三笠という戦艦の保存理由が一体どこに重きを置かれて継続されているのか、そのことを考えずには日米を越えた平和への一歩はあり得ないだろう。そんな軍事と歴史のごちゃ混ぜになった希有な公園である。

 

 

三笠公園の公式情報は公園の指定管理団体のサイトをチェックされたい。

また、記念館三笠に関しては三笠保存会をご覧下さい。

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