横須賀・三浦の大雨、ゲリラ豪雨による冠水という経験から見えたいくつかのコト
三浦半島某所にて冠水する現場に遭遇
2017年10月28日早朝に三浦半島を襲った集注豪雨。その洪水のようになった冠水現場を経験して気が付いた幾つかのコトを備忘録として記述します。
豪雨と冠水について知らなかったこと
①冠水してしまった車のエンジンをかけてはいけない。
駐車場で冠水した車は水が引いたからといってエンジンをかけてはいけないそうです。
まず、冠水してしまった車は挙動がおかしくなることがあります。駐車場で誰も乗っておらず、キーをさしてもいないのにウインカーが点灯したりワイパーが勝手に動いたりしました。
また、窓が自動的に空いてしまったりといった挙動もあります。
後日、自動車整備士の方に話を聞いたところ「エンジンを切っていても停車中に冠水した車は水や塩水が回路に影響を与えて誤作動を起こすことがある」そうです。
そして水が引いた後も『車が無事であるか確認したくてもセルを回してはいけない』ということでした。
エンジンがかかるかどうか心配ですが、セルを回してしまうとエンジンや機器の内部にまで水分が回り、それに海水が混じった場合には尚のこと故障の状態を悪くしてしまうそうです。
対応としては基本的にはまずオイル交換を行い、水分を追い出し(?)それから状態を確認するという様な流れらしいです。(電気自動車などはまた違うのかも。電話でのやり取りの為詳細など一部誤認があるかもしれません。)
追記
HONDAのサイトに「車が冠水してしまったら」というページがありました。やはり回路の水没による誤作動などあるみたいです。ハイブリッド車や電気自動車も感電の危険があるということでした。
ちなみに、鍵穴の無い後部座席などはドアが開けられない状態になりました。運転席の集中ロック解除も作動せず、鍵に付いているロック解除ボタンも効かなくなりました。鍵穴も無いため助手席や後部座席も開かず。
最近の車種では鍵が電子式キーで鍵穴がひとつもない車が多数ありますが、そのような車は外からあける手立てがあるのか気になります。
②水が引いた後の様子見にビーチサンダルはもってのほか。
洪水が終わり、水が引いたあとに庭や家屋、道路の被害を確認しようと外に出ました。その際に「濡れても直ぐに洗えるから」とビーチサンダルを履きましたが、これは大失敗。
サンダルでは泥の粘着力に負けて直ぐに脱げてしまいます。
泥が多い水の場合は歩くのもままならないので、ビーチサンダルなどサンダル系はもっての他でした。
直ぐに紐付きの運動靴に変更すると、動きやすさは格段に上がりました。
翌日でもこの道路状態が続きます・・↓
③泥水の場合、濡れているうちに清掃した方がよい。
水が引き、雨も上がった後に冠水した建物や倉庫などを片付けましたが、泥水の清掃は早い方が良いです。
普通の水と違い、三浦半島では山や畑の土を多く含んだ泥水の流れ込む場所があります。泥は固まると掃除が厄介です。
まだ濡れているウチに窓掃除で使うガラスワイパーや床用のドライワイパー、ドライヤーなどと呼ばれる器具で掃き出した方が良いです。
下記のような器具です。(画像はAmazonリンクとなっています)
タイルやフローリングのような平らな床では効率良く水分を追い出すことができました。
「柄が長いのは普段邪魔だ」という場合はハンディ―タイプの物を用意しておくという手もあります。
スポンジや雑巾とバケツで水を吸収するよりも格段に早く掃き出せます。
これは必須だと実感しました。
④停電と思い込み、ブレーカーをチェックしなかった。
今回の豪雨は深夜から早朝にかけての大雨でした。
五時台の部屋は未だ暗く、灯りをつけましたが電気は付きませんでした。雷も光っており、外は洪水のような泥水が流れているので停電も起きたと思いました。
雨が止み、精神的にも落ち着いてみると停電ではなくブレーカーが落ちているだけでした。そとの洪水と泥の悲惨な光景に思い込みが先行してしまったようです。
後日談として聞いたところによると隣家の方も停電だと思ったらしく、数時間は気が付かなかったようです。
水位が上がり、水没した機器の漏電や異常な電流で自動的にブレーカーが上がったのか、一時的に停電があったのかどうかは分かりませんが。
*状況によってはブレーカーを上げると危険な場合もあるかもしれませんので、臨機応変に対応して下さい。
⑤ガスボンベは浮く。
(写真はイメージ)
冠水した場所に設置してあるプロパンのガスボンベは浮いて移動を始めるところでした。
もちろん、ガス管も接続してあり鎖で留めてもあったので実際に流れてはいきませんでしたが、浮いて横になろうという感じでした。
元栓を閉めました。
ガスメーターも異常を検知して停止したようで、使用するには水が引いてからボタンで解除する必要がありました。
余談ではありますが、冠水状態の時にどこかから小さな破裂音などが時折聞こえ、恐ろしい雰囲気を増していました。
ボンベ以外にもあらゆる物が浮いて流れて行きました。陶器の壷などは浮きはしなかったものの、それでも位置が変わっているなど水流に動かされた形跡がありました。
ガラス瓶など中が空洞の物は大抵浮いたり倒れたりしていました。
⑥車や徒歩では分かりづらい僅かな傾斜が明暗をわける。
地区によって冠水した場所とそうでない場所があります。その線引きはぱっと見では分かりづらい僅かな高低差が大きく影響しているようです。
例えば、三浦市の潮風アリーナ近辺では同じ通り沿いにある商店や家屋で浸水したところもあれば、向かい側の大型ショッピングセンターは川に近いにも関わらず無事だったそうです。
車や徒歩では気が付きにくい高低差が道路にはあります。
自転車でペダルを離し、惰性で走るとわかるような極々緩やかな傾斜が実は数十センチの高低差を生んでいるようです。
車を前もって退避させておく場所というのを把握しておく必要があると思います。*水位が上昇してからの走行は大変危険です。
もし、車を冠水させたのが雨水の場合は車両保険で一部保険金がおりるかもしれないので保険会社に問い合わせてみて下さい。冠水の程度や海水か雨水かによって異なるという未確認情報もあります。
⑦「なんで車を避難しておかなかったんだ」というような発言は被災者をもう一度傷つける。
豪雨で冠水してしまった車にショックを受けているにも関わらず、知人や家族が「豪雨なのに気が付かなかったの?」とか「どうして移動しておかなかったんだ」などという発言は被災者を更に傷つけます。
特に今回の雨は短期に集中して降り、朝方の4時から5時には既に水位が上昇していました。寝ていて気が付かないのも仕方ないのです。それに気象庁でさえ大雨警報を出したのが午前5時17分、洪水警報を発表したのは5時39分です。
この放送が流れた時点で、すでに水位は数十センチあり、車を移動できる状態ではありませんでした。
「もう少し早く目覚めていれば」と被災した方々が一番悔やんでいるはずなので「なぜ」とか「どうして」といった単語はなるべく控えてあげたほうが良いと思いました。
⑧もし停電だった場合、ネット回線が有線(光りやADSL)だと、ルーターが使えないので情報が入りにくい。
インターネットで気象庁のレーダーナウなどをみるとあと何時間雨が降り続くのか、なんとなくの目処をつけることが出来ます。
近隣の災害状況などもTwitterで最新情報がとれますし、インターネットは非常時に便利です。しかし家庭内のWi-Fiが停電で使用できない場合、頼れるのはiPhoneや携帯など独立で電波をキャッチできる機器か、コンセントを繋げずに使用できるモバイルルーター等になります。
電信柱などにある通信会社のWi-Fiさえ生きていれば使用できるネット環境は重要だなと思いました。
⑨非常時には行政が活躍する
今回、被害の大きかった三浦市では流出した農土や崖の土砂などの回収に土木課が巡回してくれ、冠水した際のゴミを日曜日に臨時収集してくれるなど迅速な対応が見られました。
特に冠水となると濡れた紙や布、食品、清掃時のゴミなど日常では考えられない量のゴミが出ます。そういったものに柔軟で素早い対応が出来るというのは行政や従事する方々の力だと感じました。
また、非常時だからこそイライラではなく、些細な笑いが必要だということも実感しました。
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