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ミステリアスな横須賀ガイド? 山田深夜著「横須賀ブロークンアロー」

スカ本(横須賀関連書籍)

本日のスカ本(横須賀関連書籍)紹介コーナです。

 

登場人物目線で巡る『横須賀ブロークンアロー』

 

横須賀を舞台にした小説が新発売されたので早速紹介したいと思います。今日の一冊はこちら!

 

「横須賀ブロークンアロー」山田深夜著 双葉社

 

横須賀ブロークンアロー(上) (双葉文庫)

横須賀ブロークンアロー(上) (双葉文庫)

  • 作者:山田 深夜
  • 出版社:双葉社
  • 発売日: 2017-05-11

 

横須賀中央、ドブ板、猿島、野比、観音崎、追浜など三浦半島がディープに登場する異色のサスペンス小説です。横須賀の地域が多数出現、横須賀マニアにはたまらない作品と言えるでしょう。

 

内容は実際にあった米軍の水素爆弾を積んだ戦艦の、沖縄での沈没事故を題材にしています。当時、新聞にも掲載されたこの大事件、その後の核爆弾の行方は?という謎が小説の焦点となっています。

小説の中では、これを極秘裏に回収し、実は横須賀に持ち込んだのでは?という独自推理のもとミステリーが進んで行きます。

あくまでもフィクションという断りがあるにせよ、余りにも現実味を帯びた描写に、読者は思わず「これはもしや」と勘ぐってしまうほどリアリティーに満ちています。

その理由としては、先ず著者の執拗なまでの情報収集能力と類稀なる地域への観察眼が挙げられるでしょう。実際登場する横須賀の地名や史跡、要所は悠に30を越える。一地方都市に過ぎない横須賀をここまで深く探索した作家がいたでしょうか。
地名は勿論、隠れた名所や名もなき小さな、それでいて個性溢れる小道までが言葉によってもう一度命を与えられているのです。

横須賀に生まれ育った方や長く住んでいらっしゃる方には「あっ、ここはあの道じゃないだろうか?」という発見が随所にあるでしょう。

その中の幾つかを登場人物目線で歩いて見ましたので紹介致します。
本を片手に現場を訪れる楽しみがこの小説には詰まっています。
「横須賀ブロークンアロー」を持って、この街をディープに探検して見ませんか。きっと今までの観光ガイドとは違った横須賀を発見できるでしょう。

それでは、横須賀ブロークンアローツアーに出発しましょう。

*この先は一部内容のネタバレを含みます。これから読む予定の方はご注意下さい。

 

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登場人物目線で巡る『横須賀ブロークンアローツアー』

 

<キーポイントその1>ドブ板通り

 

 

物語の前半は重要な作中人物である二人、江井と石渡を中心に話が進みます。横須賀の米軍基地に近く、ネイビーバーガーでもメジャーな「ドブ板通り」が頻繁に登場。日本とは思えない外国人の多さや米兵の姿もここでは普通の光景。

 

 

 

主人公の一人はスカジャン(横須賀ジャンパー)を愛用し、実際に飲みに訪れる店やビル、駐車場などもリアルな街の雰囲気を伝えています。

 

 

この通りに誰々が隠れていたんじゃないだろうかとか、あの店で飲んでいたのではないだろうかなど想像やサーチが働くでしょう。

他にも町名や信号、公園など実存する場所が多々登場。

 

<キーポイントその2>公園

 

写真:市役所前公園

 

市役所前や海辺の公園などいくつかの重要なシーンで公園が登場する。

 

市役所の絡繰り時計塔▼

 

時計塔の裏手に隠れて向かいの警察署を見る▼

 

公園を覗く▼

 

隠れられそうな茂み▼

 

現在は廃止された横須賀警察署の廃墟▼

 

 

夏のバーベキューで大人気の東京湾唯一の無人島猿島や、渡船乗り場のある三笠公園は読後には違った眼で眺めることになるでしょう。
行き交う人々も今まで以上に気になるかもしれません。

 

公園の背後にそびえる米軍施設▼

 

舞台ステージのある三笠公園の一角▼

 

横須賀に別の視点を与えてくれるこの小説を読むと、記念艦である戦艦三笠を見学するにしても、違った場所が気になります。

猿島はもっと近く、いえ、遠く感じるかもしれません。

 

 

 

戦艦三笠、立ち入り禁止の看板と裏口▼

 

 

猿島遠景▼

 

 

<キーポイントその3>飲み屋街

 

 

 

この小説には沢山のシーンが居酒屋やBARで展開します。この本の雰囲気を探し、飲み屋街を散策する楽しみも有ります。吉田類さんだけが酒場ガイドではなくなるでしょう。(吉田さんは酒場放浪記という番組をされており横須賀も登場したことがある)

昼間なのにやけに暗く感じる通りを見つけたら、あなたはもう小説の中に紛れ込んでしまったのです。

 

 

歩く度に背後や隠れられそうな場所が気になり、心拍数が少し上がるかもしれません。

実際に私も公園で怪しい人物を発見し、あれはまさか実在のx氏ではとドキッとしてしまいました。

 

眼深に帽子を被りイヤホンをつけた作業着姿の男性。手には何やら機械らしきものを持って何をするでもなく公園を徘徊していた▼

 

 

 

<キーポイントその4>小路

 

登場人物たちが通ったり隠れたりしたであろう小道▼

 

作中では土道の石一つにも意味がある▼

 

草影から行く先を覗く▼

 

 

<まとめ>

推理小説ではありますが、この本に限っては小説の筋だけが重要な本ではありません。通読すると、横須賀という街の捻れた部分や政治的、歴史的な生い立ちを自ずと知ることになります。

小さく希有な地方都市の、ある種歪みのような部分、観光だけでは知ることの出来ない磁場のような何かをいつのまにか掴まされてしまう。そんな力を持った小説です。

様々な読み方ができ、横須賀好きが一層増すこと請け合いの一冊となっています。

 

読後に横須賀をもっと知りたくなったら?
大丈夫、心配いりません。

この一冊を持って街を歩けば、いつの間にか横須賀奴の友人ができ、それは既に、後戻りできないこの街のディープな界隈に立ち入ってしまったことを意味しているのですから。

 

「月間推理小説」に62回(全てを文庫化すると9冊にもなるという大作)に渡って連載された長編作品を文庫化にあたり再編集、2017年5月に上下巻としてリリースされた。

 

 

 

横須賀ブロークンアロー(上) (双葉文庫)

横須賀ブロークンアロー(上) (双葉文庫)

  • 作者:山田 深夜
  • 出版社:双葉社
  • 発売日: 2017-05-11

 

 

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